GPTWの運営する「働きがいのある会社ランキング」とは?信憑性を解説

「働きがいのある会社ランキング」というものをご存知でしょうか。

OpenWorkが毎年行なっている「働きがいのある企業ランキング」とは、全く別物でアメリカにあるGreat Place to Work(GPTW)という機関が発表する企業ランキングです。

今回は、GPTWの「働きがいのある会社ランキング」についてや、Openworkの「働きがいのある企業ランキング」との違い、ランキングの信頼性・信憑性について解説していきます。

GPTWとは

https://hatarakigai.info/

Great Place to Work®は、「働きがい」に関する調査・分析を行い、一定の水準に達していると認められた会社や組織を各国の有力なメディアで発表する活動を世界約60カ国で実施している専門機関です。

GPTWの歴史

GPTWジャパンのHPを見てみると、その歴史が書かれています。

1984年に発行された「The 100 Best Companies to Work for in America」(ロバート・レベリング/ミルトン・モスコウィッツ共著、Addison-Wesley 1984)で、「働きがい」に関する研究成果が初めて紹介されました。

そして、その7年後の1991年にロバート・レベリングにより、Great Place to Work® Instituteが設立されたのです。

契機は1998年。アメリカの経済誌「Fortune」誌に「Best companies to work for」ランキングが掲載され、アメリカでの知名度を獲得していきます。

その後世界各国で同様の活動がなされ、日本でも2005年に活動が開始されます。

2007年日本で最初のランキングが日経ビジネスにて発表されました。

その後、毎年発表されていて、参加企業も2007年67社から増え続け、2019年では480社が、直近の2020年には499社が参加するようになりました。

また、2011年にはグローバルランキングを発表しています。

働きがいのある会社ランキング2007日本

当時の日本ランキングをGPTWジャパンのHPでも見ることができます。

  1. リクルートエージェント
  2. モルガン・スタンレー証券
  3. マイクロソフト
  4. 日本イーライリリー
  5. 日本ヒューレット・パッカード
  6. ベンチャー・リンク
  7. 三井不動産販売
  8. アストラゼネカ
  9. 堀場製作所
  10. アサヒビール

一位はリクルートエージェント。当時はまだリクルートエージェントと呼ばれていた時代ですが、現在はリクルートキャリアに名前を変え、転職エージェント(人材紹介業)で業績を伸ばしていますね。

働きがいのある会社ランキング2011(世界版)

https://money.cnn.com/magazines/fortune/bestcompanies/2011/full_list/

1位は統計解析・アナリティクスソフトウェアのリーディングカンパニーであるSASです。2位はコンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループ、グーグルは4位という結果になっています。のちにAmazonに買収されるZappos(ザッポス)もこのランキングに入っていますね。

GPTWジャパン

日本でも2005年から活動が開始されています。2009年には法人設立をしています。

会社概要

会社名:株式会社働きがいのある会社研究所

本社所在地:東京都品川区大崎1-11-1 ゲートシティ大崎 ウエストタワー7階

設立年月日:2009年4月1日

資本金:75,000千円

代表取締役社長:荒川陽子 

GPTWのミッション

GPTWジャパンでは、Great Place to Work®の理念やモデル、優れた事例の紹介等を通じて、日本における「働きがいのある会社」の普及と実現のための支援活動をし、ひいてはよりよい社会の実現に貢献することを目指しています。

そして私たちは”Any company can make a Great Workplace”(いかなる会社も、働きがいのある職場を創ることができる)と考えています。

GPTWジャパンHPより

GPTWのミッションは、働きがいのある会社の普及と書かれています。普及と実現を支援することによって、より良い社会が実現するという考え方です。

OpenWorkの働きがいのある企業ランキングとの違いについて

企業評判サイトであるOpenWorkも毎年「働きがいのある企業ランキング」を発表しています。同じランキングですが、いくつか異なる点があるので解説します。

名称 働きがいのある会社ランキング 働きがいのある企業ランキング
実施機関 Great Place to Work(日本) OpenWork
対象企業 参加申し込み企業のみ 一定期間内にサイトに投稿された口コミ(レビュー)があった全企業
対象者 全ての働く人
(社長、役員、直接雇用の正社員・契約社員・嘱託・週20時間以上勤務のパート/アルバイト)
正社員・契約社員(アルバイト・派遣社員を含まない)※退職済みの場合も含む
料金 有料/無料 無料
ランキング分類 会社規模 業界・会社規模を問わない
アンケート項目

すべての設問は「信頼」を測る。信頼は、信用・尊重・公正・誇り・連帯感の5つの要素に分類される。

設問には一部、信頼とあわせて「価値観(バリュー)」、「リーダーシップの有効性」、「イノベーション」を測るものがある。

「待遇面の満足度」「社員の士気」「風通しの良さ」「社員の相互尊重」「20代成長環境」「人材の長期育成」「法令順守意識」「人事評価の適正感」の8つ

2つのランキングの大きな違いは、やはり調査方法と料金が発生するかどうかではないでしょうか。

まず、GPTWは従業員(経営者含む)に対してのみ、調査を実施しますので、退職した社員は対象外です。逆にOpenworkでは一定期間内のに働いていた会社の社員であれば、現職・退職問わず全員レポートを書くことができます。

GPTWはアンケートによって企業ブランディングの向上や、働きがいのある会社への向上支援というコンサルティング要素があり、有料プランがあります。一方OpenWorkは、企業側が実施するものではなく、社員が自ら投稿するものであるため、全て無料で行われています。ただし、サイト上で成功報酬で採用活動を行うことができます。

働きがいのある会社ランキングは信用できない?その信憑性は?

さて、この記事を読んでいただいている方は、ランキング自体を信用していいのか、信憑性があるのか、ということも気になっているのではないでしょうか。

ランキングの信頼性

結論として、どちらのランキングも十分信憑性はあるものの、ランキングだけを信用するのは問題と言えます。

そのため、決してランキングのみを信用するのではなく、自分の目で調べたり面接で聞くことが必要でしょう。

信頼性の問題点

ランキングのみを信頼するのが問題という理由の一つとして、ランキングはやろうと思えば、人為的に操作できてしまう可能性が残っているという点です。

そもそも、GPTWは料金を払ってランキングに参加している企業が多いわけですから、企業はどうしてもランキング上位に行きたいという気持ちを持っています。

経営者から従業員に働きかけ、高評価を強要するということができなくはないでしょう。もちろん、昨今のSNS社会では、こういったネガティブな情報は内部から簡単に漏れてしまうため表立ってはできないでしょう。

また、企業評判サイトであるOpenWorkでも嘘のレビューを投稿することは可能ですので、「働きがいのある企業ランキング」もやろうと思えば、操作できる可能性があります。(ただし、レビューには厳しい審査があり怪しいレビューは非掲載となるので、大規模にやろうと思えば、相当な労力を要することになります。)

二つ目の理由は、対象者によってはアンケートに偏りがあることです。

例えば、GPTWのランキングの場合は、現在働いている社員を対象としているため、ある程度現状に満足しているから残っているのであり、良い評価に偏ってしまう傾向にあるでしょう。

逆に、OpenWorkでは退職者がレビューを投稿するため、現状に不満を抱えてやめている場合が多く、悪い評価が増える傾向にあります。

ランキングはとても有用※あくまで参考に

最近は、社員が働きがいを感じている会社ほど、業績が伸びてる傾向が強いです。また、働きがいを感じている社員が増えることは社会にとっても非常に良いことですね。

ですので、働きがいのある会社ランキングも、働きがいのある企業ランキングも、「働きがい」に焦点をあてている点では非常に有用なランキングといえるでしょう。

ただ、年収や残業時間などに比べて「働きがい」は本質的には定量的に測ることができませんので、注意が必要です。

特にランキングというのは、ある意味平均値ですので、自分自身にマッチしているかは分かりません。

あくまで一つの指標として参考にするのが重要です。

企業のことを知るには口コミが有効

働きがいのある会社ランキング以外にも、企業について知ろうと思った時に有用なのが、企業の口コミサイトです。

企業の口コミサイトでは、過去にその企業で働いていた人たちのリアルな口コミ情報や、年収情報、面接情報などを見ることができます。

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